虫歯の進行度合により治療法が変わります
■虫歯の進行段階
虫歯は進行度合で5つの段階に別けられています。
歯科では、虫歯の段階を「C0~C4」までの5段階で表しています。
その段階によって、虫歯への対処法や、治療が必要か否か、歯を残せるかどうかという判断基準や治療方法を分けています。
<治療法>
基本的に、「C0」「C1」の初期虫歯はなるべく削らない処置を行います。
この時期は、唾液によって再石灰化(さいせっかいか)という修復機能が作用し、進行がストップする可能性も大きいため、虫歯治療はせずに様子をみます。
「C1」の中でも「C2」に近いものは、溶け始めてツルンとした光沢感の無くなった表面を研磨したり、再石灰化を期待してフッ素塗布などをおこなって様子を見る場合や、穴ができてしまった部分があれば少し削って埋める簡単な治療で済ませるというような処置で様子を見ます。
定期検診に来れる方は、削らないで経過観察することができますので、ご自身の歯を削らず守ることができます。
象牙質まで虫歯が進んでしまった段階「C2」
エナメル質の下は、象牙質(ぞうげしつ)という層になっています。
虫歯が進行し、エナメル質から象牙質に届いてしまう深さまでになると、虫歯は横に大きく広がり始めます。
象牙質は、中央に歯髄(しずい)と呼ばれる神経が走っています。象牙質に虫歯が達すると刺激が象牙質を伝って歯髄まで届くため、冷たいものや温かい食べ物を食べた拍子に痛みを感じるようになります。
<治療法>
「C2」は、虫歯が深く大きく広がっているため大きく削る必要があります。
奥歯や前歯など部位により治療法は異なります。
深い虫歯になると型取りをして詰め物(インレー)を入れることになります。
詰め物(インレー)には、プラスチック、銀歯、セラミックという選択肢があります。
プラスチックは色も白く、当日に光照射で時間が短く削る量が少なくて済みます。
■素材による削る量の違い
●プラスチック・・・柔らかい状態で詰めて光照射することで固まるため、余分に削る必要がありません。
●その他詰め物・・・最小限で削るように努めても、はめ込み式のため、ある程度健康な歯を削る必要があります。
プラスチック |
虫歯の量が最小限で削れる |
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メタルインレー |
ある程度削らなければいけない |
ハイブリットインレー |
強度はプラスチックよりあるが、セラミック、メタルインレーよりも劣るためある程度削らなくてはいけない |
セラミックインレー ジルコニアインレー |
ある程度削らなければいけない |
当院はミニマル インターベンション(M.I.)という歯をなるべく削らずに、本当に悪くなった部分だけを削除して修復する治療法で行っています。そのため、最小で削ることができるプラスチックを使用した治療を行うようにしています。
歯の神経まで虫歯が到達してしまった段階「C3」
虫歯が神経まで到達してしまうと、さまざまな刺激がダイレクトに伝わるようになります。
食事の際に起こる「ズキン!」と走る激痛や、何もしていなくても脈打つような「ズキンズキン」という痛みを伴うようになってしまいます。
そしてそのまま放っておくと神経は死んでしまい、一旦痛みが引くので「治ったのかな?」と勘違いする方もいます。
神経をとると歯の寿命は短くなります。生きた木と枯れた木の違いで考えるとわかりやすいです。大事な体の一部である歯の神経をとることは簡単なことではないため、十分な説明と同意を得るようにしています。遠慮なくご質問ください。
<治療法>
「C3」は、根の治療をしなくてはいけません。
死んでしまった神経を放置すると歯ぐきの中で膿が溜まることもあり、ここまでくると神経を抜かなくてはならなくなってしまいます。
神経を抜いた後は、歯の根っこが十分回復するまで治療してから被せものをしなくてはならないため、治療期間が1か月~2か月と長くかかってしまう可能性が高くなります。
根の治療はマイクロスコープ、拡大鏡を使用し精密な診療を行っております。
※保険診療の範囲で対応しております。
どういう時に神経を取るか疑問に思いませんか?
<神経を取る場合>
1.虫歯をとった結果、出血してきた場合
(場合により、少量の出血だけで症状がない場合は神経を一度残すこともあります)
2.神経までギリギリで強い自発痛(何もしていなくても強いズキズキとした痛み)がある場合
3.化膿性の炎症がある場合
当院では、神経に近い虫歯の場合、できるだけ高速回転器具(タービン)は用いず、あまり削らない低速回転にて、虫歯をとったり、神経にできるだけ到達しないように気をつけます。
無事神経が見えずに、虫歯の治療が終わった場合、後から痛みが出る場合があります。
可能な限り防いで、神経を保存するために、水酸化カルシウム製剤やドックベストセメントを用いて治療を行うようにしています。
<治療後の被せ物について>
保険と自由診療にはそれぞれいいところがあります。
使える素材の違いがあっても技術の差が出ないように心がけております。
>>詳しくは審美歯科ページをご覧ください。
歯の頭の部分もほぼ無くなり根っこだけになってしまった段階「C4」
歯が根っこだけの状態になっているということは、すでに神経も死んでしまっていることでしょうし、残しておくことがなかなか難しくなってしまいます。
<治療法>
「C4」の状態までくると、抜歯以外の治療は難しくなりす。根管治療が行えそうな場合は、なるべく歯の保存を考えた治療を行っていきます。
部分入れ歯で補うか、両隣の歯を少し削って3本連結した「ブリッジ」という装置を被せる。または人工的な破の根っこを土台とする手術を行い人工歯を被せる「インプラント」になります。