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歯のしくみ

歯はカルシウムを摂ると強くなりますか?

歯を強くするためには、カルシウムを摂ると良いと聞いたことがある方も多いかもしれません。その噂は本当で歯の原料となるカルシウムは、歯が作られていく上でとても大切な栄養素です。

しかし、歯を強くするためにはカルシウムだけの栄養素では不十分です。また、大人がカシウムを摂るのと、妊婦さんや小さなお子さんがカルシウムを摂るのでは歯へ与える効果が異なります。


「カルシウムを摂れば、誰でも劇的に歯が強くなる」ということではありません。そのためカルシウムの効果を最大限に発揮させるためには、歯とカルシウムの関係について詳しく知っておくことが大切です。

そこで今回は、「妊婦さん・お子さん」、「大人」の時期別にカルシウムが歯に与える効果や、歯を強くするために重要な栄養素についてお話していきます。

歯を強くする仕組みを知ることで、ご自身やお子さんの歯を長く健康に保っていただくことができればと思います。ぜひご一読ください。

◆カルシウムが歯に与える効果

カルシウムが歯に与える効果は、時期によって異なります。「妊婦さん・お子さん」、「大人」の2つの時期にわけてお話します。

・妊婦さん、お子さんに与える効果

カルシウムが歯にとって1番大きな影響を与える時期は、「乳歯」「永久歯」の歯胚(歯の芽)ができて、歯が歯ぐきの中で作り終えるまでの期間です。

お子さんの歯が生えるのは生後6ヵ月頃ですが、乳歯の歯胚は妊娠7週頃からできはじめ、永久歯は14週頃にできはじめます。

そして、妊娠4~6ヶ月の間には、カルシウム成分が歯へ沈着(石灰化)をはじめ、硬く育っていきます。永久歯の場合は、出生時~3歳頃です。

歯の強さは、この「歯の石灰化」がとても重要になるといわれています。ですから妊娠中はもちろん、出生後にお子さんが食べる食事にも気を付けましょう。この時期に積極的にカルシウムが多い食事を摂ることで、強い歯を作るためのカルシウムの効果を最大限に得られます。

・大人の時期に与える効果

歯の成長が終わった大人の歯は、歯が作られる期間のような劇的な効果は得られません。しかしながら、歯の「再石灰化」といわれる作用には「カルシウム」「リン」がとても重要な役割を果たします。

食事をするとむし歯菌の影響でお口の中が酸性に傾き、歯の表面からリンやカルシウムが溶け出します。その後、唾液の働きによって、通常であれば食後約40分でこの酸は中和され、溶け出したリンやカルシウムは元の構造に修復されます。

この元の構造に修復する作用が「再石灰化」です。カルシウムやリンが不足していると、再石灰化がスムーズに進まず、むし歯のリスクを高める原因となります。そのため、大人になってからもカルシウムの摂取には気を付けなければなりません。

◆歯を強くする成分はカルシウムだけではない!

強い歯を作るにはカルシウムが大切、というお話をしましたが、歯を強くするにはカルシウム以外にも大切な栄養素があります。バランスよく必要な栄養素を摂ることで、さらに強い歯を目指せます。

【カルシウム・リン】
カルシウムだけではなく、リンも歯を作る際に大切な成分です。さらに再石灰化にも大切な成分なので、積極的摂取しましょう。

リンはインスタント食品やタンパク質の多い食品に豊富に含まれているため、普通に生活している状態では不足しませんが、カルシウムは不足しがちな栄養素ですのでさらに意識して摂取しましょう。

・カルシウム:牛乳、チーズ、大豆、小魚、桜エビなど
・リン:豚肉、牛肉、卵、乳製品など

【ビタミンD・マグネシウム】
ビタミンDやマグネシウムは、カルシウムの吸収率を高めます。

・マグネシウム:魚介類、海藻類、納豆、玄米など
・ビタミンD:干しシイタケ、鮭、サンマ、イワシなど

【タンパク質】
タンパク質は、歯の土台を作ってカルシウムの吸収を良くします。
主に、魚、卵、肉、乳製品、大豆などに含まれています。

【ビタミンA】
ビタミンAは、歯の表面のエナメル質を強化するために大切な成分です。
かぼちゃやレバー、人参や卵などに含まれています。

【ビタミンC】
ビタミンCは歯の象牙質を作り、強くするために大切な成分です。
ブロッコリーや小松菜、ピーマンや苺などに含まれています。ビタミンCは水溶性のため、特に生で食べられるフルーツがおすすめです。

◆まとめ

カルシウムは歯を作る際に大きな役割を果たし、歯を強くしてくれます。また、歯が成長しきった大人になってからも、再石灰化を助けてくれる効果も期待できます。

お子さんの歯の健康を願うのであれば、妊娠がわかった時点でカルシウムをはじめ歯を強くする栄養素を積極的に摂取しましょう。もちろん、赤ちゃんの健康を守るには歯だけに注目するのではなく、全身の健康も考えてバランスの良い食事にも気を付けましょう。

ただし、栄養素を摂るだけでずっと歯を健康に保てるわけではありません。歯が生えてきたら歯磨きでのケアや、むし歯リスクが高まる「ダラダラ食べ」や「ダラダラ飲み」にも気を付けましょう。

当院ではむし歯治療はもちろん、むし歯にならないようにするための「予防歯科」にも力を入れております。ご自身やお子さんの歯のことで心配なことや、悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

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