歯のしくみ

乳歯のことが心配。。知っておくべき乳歯のQ&A

Q.歯が生えてくる時期が過ぎてなかなか出てきませんが大丈夫ですか?
A.歯が生えてくる時期には個人差があります。1歳を過ぎても1本も歯が生えてこない場合は念のために歯科医院を受診しましょう。

 
一般的に生まれた赤ちゃんに初めて歯が生える時期は生後6か月~9カ月頃と言われています。定められた時期に歯が生えてこないからといって過度な心配はありません。歯が生えてくる時期は約1年の幅があると考えられており、たとえ生える歯の順番が異なってしまったとしても、問題はありません。しかし、1歳を過ぎても1本も乳歯が生えてこない場合は、念のために歯科医院で診察を受けましょう。

乳歯が生える順番は以下の通りです。
生後6カ月ごろに、下顎の前歯(乳中切歯)2本が徐々に生えていき、生後10か月ごろに上顎の前歯(乳中切歯)が2本生え、1歳ごろには、上額と下顎の乳中切歯の左右両隣に乳側切歯が4本生え、合計8本の歯が揃います。

1歳半ごろには、乳側切歯の隣に1本分のスペースをあけて、第1乳臼歯が上下左右1本ずつ計4本生えてきます。乳側切歯の隣に1本分のスペースを空けて第1乳臼歯が生えてくるので、「歯が生えてこない?!」と心配になる親御さんからご相談をいただくこともありますが、2歳ごろに乳側切歯と第1乳臼歯の間に乳犬歯が生えていきます。2歳半ごろに第1乳臼歯の隣に第2乳臼歯が生え、すべての乳歯20本が生えそろいます。生える順番や時期には個人差があるため、心配なことがある場合は、歯科医師にご相談ください。
 

Q.生えてきた歯の色が白濁(または黄色)していますが大丈夫ですか?
A.歯が白濁している場合をホワイトスポット呼び、生えてきた時点で歯が白い場合は「エナメル質形成不全」である場合があります。

 
歯が形成される段階でなんらかの原因によりエナメル質の形成に影響を及ぼし、エナメル質が完全に形成されず、そのまま生えてしまった場合、その部分が他の歯より白濁しています。

エナメル質が完全に形成されていない場合、エナメル質の下の層にある、象牙質が透けて見える場合があり、象牙質はクリーム色をしているために、歯が黄色く見える場合もあります。エナメル質形成不全の場合は、人体の組織の中で一番硬いとされる歯の表面組織である、エナメル質が歯の守る役目も果たしていますが、エナメル質が完全に形成されていないために、虫歯になるリスクが高まってしまいます。正しい歯磨き方法、虫歯菌のエネルギーとなる甘い食べ物、飲み物の摂取量に気を付け、虫歯予防としてフッ素塗布などをおこない、虫歯予防をおこないます。歯が大きく欠損している、または歯質がもろく今の状態を維持できないと判断される場合は、治療が必要となります。また、遺伝性のエナメル質形成不全の場合は、乳歯および永久歯のすべての歯がエナメル質形成不全となってしまう極めてまれなケースも報告されています。
 

Q.生まれつき歯の数が少ないと言われました。どういうことですか?
A.なんらかの影響により生まれつき歯が形成されない先天性欠如歯です。

 
生まれつき歯の数が少ないことを「先天性欠如歯」といいます。乳歯は全部で20本、永久歯は親知らず4本と合わせて全部で32本となります。乳歯の頃よりの本数が少ない場合もありますが、先天性欠如歯の場合、乳歯は全ての歯が揃っていたが、乳歯が抜けることもなく永久歯が生えてこないことで、先天性欠如歯だと気づくことも多く、その数は10人に1人と意外にも高い確率となっており、ヨーロッパの矯正歯科学会での調査によると、先天性欠如歯は近年増加傾向にあると報告されています。永久歯の先天性欠如歯の場合は、乳歯を出来るだけ長く維持させたとしても、歯根が短い、エナメル質、象牙質が薄い関係上、20歳前後で抜け落ちる場合が多く、抜けたまま放置してしまうと咬み合わせや、歯並びに影響がでるために補綴物を装着するなどの治療が必要となります。また、乳歯の先天性欠如歯の場合は、必ずしも永久歯が生えてこないとは限らず、レントゲン撮影等で診断することが可能となります。乳歯や永久歯(一部)は生まれる前である、母親のお腹の中にいる胎児の頃より形成されます。歯のもととなる歯胚(しはい)は、胎児が形成されてから7周頃に形成され、4カ月頃には再石灰化の力によって歯を硬くしていきます。
先天性欠如歯の好発部位は前から5番目の歯である下顎第2小臼歯、前から2番目の下顎側切歯でありますが、先天性欠如歯となってしまう原因ははっきりと解明されておらず、遺伝、薬の副作用、などが原因と考えられています。
 

Q.赤ちゃんの歯の性質が弱いと言われました。妊娠中何か原因があったのでしょうか?
A.ママのお腹の中で歯の芽が形成される時期に栄養障害や健康問題が原因で、赤ちゃんの歯の性質が弱くなってしまう場合もあります。

 
ママのお腹の中にいる赤ちゃんの歯は、妊娠7週目ごろより形成されはじめます。ですが、このころにつわりなどで十分に栄養を摂取できなかったり、ママである母体の健康状態になんらかの問題があったりした場合に歯の形成に影響されると言われています。

また、ママである母体の影響だけでなく、早産・低出産体重児で生まれた赤ちゃんや、生後間もない赤ちゃんの栄養状態や健康状態に問題があったりする場合も、歯の形成に影響されると言われ代表的な疾患に「エナメル質形成不全」があげられます。

「エナメル質形成不全」とは、歯の表面の組織であるエナメル質がなんらかの原因で不完全なまま形成されていない状態をいいます。エナメル質は人間の身体の中で一番硬く、外部の刺激から象牙質や神経である歯髄を守る役割がありますが、そのエナメル質が不完全な形成のため、虫歯になりやすかったり、知覚過敏の症状が現れたりする場合もあります。

虫歯になりやすいために、日々の歯磨きはもちろんのこと、歯科医院で定期的にお口の中をチェックし、フッ素塗布をして虫歯菌から歯を守ることが重要となります。

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