虫歯

虫歯になりかけは治療しなくて良い?

なりかけの虫歯は、削って治療しなくても自然に治る場合があります。

◆初期虫歯を削って治療しなくても良い理由
〜初期虫歯ってどんな状態?〜
初期虫歯とは、歯の表面が白くザラザラになっていたり、茶色っぽくなっていたりする状態です。一般的に虫歯として知られている、黒くなっていたり、穴が空いていたりと見た目で明らかに虫歯とわかるような状態ではありません。

また、痛んだり、しみたりと自覚症状は、ほとんどありません。つまり、初期虫歯は、見た目の状態でしか判断することができないのです。そして、自分で見つけることはなかなか難しく、歯科医院での定期チェックや学校などの検診で見つかることが多いのが現状です。
では初期虫歯について、もっと詳しく専門的に説明していきたいと思います。歯の一番外側の表面の部分は、「エナメル質」という硬い組織でつくられています。そしてエナメル質の大半が「リン酸カルシウム」という成分で構成されています。
通常、口腔内は中性に保たれているのですが、食事をすると酸性の状態に傾きます。すると、エナメル質の大半を構成している「リン酸カルシウム」が口腔内に溶け出してきます。

そして唾液には、酸の力を弱め、中性戻す作用があるため、酸性に傾いても食事後しばらくすると口腔内は中性に戻り、初期虫歯のような状態になるまではいきません。
しかし、口腔内に食べかすや汚れが残ったままの状態が長い時間続くと、酸性から中性に戻すまでに長い時間を費やすことになり、酸性でいる時間が長くなります。
そして、「リン酸カルシウム」が多く溶け出し、初期虫歯のような状態になってしまうのです。そのような状態を「脱灰」という言い方をします。

〜歯質の再石灰化〜
唾液には、歯質を再石灰化させる作用があります。「再石灰化」とは、酸によってエナメル質が溶かされ、「リン酸カルシウム」を失ってしまった歯質が、唾液に含まれる「リン」や「カルシウム」がによって、エナメル質を強化、修復することをいいます。そのため、初期虫歯は削ることなく、自然に治すことができるのです。
目には見えていませんが私たちの口腔内では、食事をするたびに起こる「脱灰」と食後に起こる「再石灰化」を繰り返しながら、健康な歯を維持することができています。
つまり、初期虫歯のように歯の表面が少し「脱灰」している程度であれば、唾液の持っている「再石灰化」の力によって、歯質を修復し、元の健康な歯質へ戻すことができるのです。

◆初期虫歯の治療方法
先ほど「再石灰化」についてお話しさせていただきました。しかし唾液のもつ「再石灰化」の効果を得るためには、何もせずにただ放っておけばいい訳ではありません。「再石灰化」の力を存分に発揮し、初期虫歯を削らずに治すためには、削ること以外にしなくてはいけないことが2つ紹介します。

1.プラークコントロール
プラークコントロールとは、虫歯の原因となる歯垢や汚れを減らし、綺麗で清潔な口腔内を維持していくことをいいます。

口腔内に歯垢や汚れ残っている状態では、「脱灰」ばかりが進んでしまい、「再石灰化」が追いつかずに、健康な元の歯質に戻すことができません。それどころか、初期虫歯を通り越して、虫歯になってしまいます。
そのため、常にプラークコントロールをしっかりして、「脱灰」と「再石灰化」とバランスを崩さないことが、とても重要です。
プラークコントロールは、お家で行うホームケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルケアがあります。
ホームケアは、歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを使って行います。これは毎日行う大切なケアのため、正しい磨き方でしっかり丁寧に行いましょう。また、歯ブラシのみではどうしても歯と歯の間や、細かい隙間に磨き残しが出てきてしまうので、フロスや歯間ブラシの使用をおすすめします。

自分の磨き方に不安のある方は、一度歯科医院でブラッシング指導を受けてみるのもいいでしょう。正しい磨き方が、「再石灰化」を促進することへ繋がっていきます。
プロフェッショナルケアは、歯科医院で行う専門的なクリーニングのことをいいます。自分では磨きにくい細かいところを徹底的に綺麗にしたり、表面の汚れをつきにくくしたりします。また、定期的に行うことで、自分のホームケアが正しくできているのかを確認することができます。

2.フッ素
フッ素は、エナメル質に吸収されることで歯質を強化し、「再石灰化」を促進させる効果があります。そのため、初期虫歯の歯質には、とても効果的です。ちなみに、一般的にフッ素と言われていますが、専門的に正しくは「フッ化物」という名前です。

一般的に売られている歯磨剤は、ほとんどにフッ素は含まれています。しかし歯科医院で塗ることができるフッ素の方が濃度が高いため、初期虫歯にはより効果的です。初期虫歯のフッ素塗布には、保険が適応されますので、気軽に相談してくださいね。

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