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花粉症と歯の関係

花粉症と歯には密接な関係があり、花粉症が原因で歯に痛みが出たように感じることがあります。また花粉症によって、お口の中の環境が変わりトラブルを招くケースもあるため、花粉症の方は注意が必要です。


花粉症の時期になると、普段はお口に大きなトラブルのない方が歯の痛みを訴えて、来院されることがあります。一見関係がなさそうに見える歯と花粉症ですが、花粉症が原因で歯が痛いと感じたり、普段は起こらないお口のトラブルが起こったりと深い関係があります。

そこで今回は、「花粉症と歯の関係」について詳しくお話していきたいと思います。

花粉症と歯の関係を知ることで未然にお口のトラブルを防ぎ、つらい花粉症の時期を少しでも快適に過ごしていただければと思います。ぜひご一読ください。

◆花粉症が原因で歯が痛く感じることはある?

花粉症の時期になると、鼻水・くしゃみ・目のかゆみなど、つらい症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。実は、これらの症状以外にも、花粉症が原因で「歯の痛み」を感じることがあります。

これは、花粉症によって引き起こされる「副鼻腔炎」による痛みです。副鼻腔とは鼻のまわりにある空洞のことで、花粉症によって鼻の中に強い炎症が起こると、粘膜が腫れて粘り気のある鼻水が出てきます。

この鼻水や腫れが副鼻腔までの通り道を防いでしまい、副鼻腔の中に膿・鼻水など細菌が溜まって炎症(副鼻腔炎)を引き起こします。

そしてちょうどこの副鼻腔炎が起こる場所が、上の奥歯の歯の根っこ部分に近接しているため、歯が痛いように感じてしまうことがあるのです。

◆副鼻腔炎になると現れる主な症状

花粉症かつ、上の奥歯に痛みがあったとしても、それが必ずしも「副鼻腔炎」であるとまでは言い切れません。副鼻腔炎には、「上の奥歯が痛い」という症状をはじめ、その他にもいくつか症状に特徴があります。まずは、副鼻腔炎特有の以下の症状を確認しましょう。

【副鼻腔炎が引き起こす歯の痛みの症状】

  • 上の奥歯が痛む
  • 歯が浮く感じがする
  • 何もしなくても鈍痛がある

【歯の痛み以外の症状】

  • 頭を動かすと痛い
  • 鼻や目の奥の圧迫感
  • 頭痛

◆歯の痛みの原因は本当に花粉症?レントゲン・CT撮影での確認が必要

副鼻腔炎かどうかの確認は、レントゲン・CT撮影などで調べることができます。副鼻腔炎の症状で当てはまる部分が多い場合は1度歯医者か、もしくは耳鼻科で確認してもらいましょう。

診断結果が花粉症による副鼻腔炎の場合は、耳鼻科で抗生物質を処方してもらって服用すると2週間ほどで落ち着いてきます。

しかし、副鼻腔炎が起きる原因は花粉症だけではありません。歯が原因で副鼻腔炎を引き起こしているケースもあります。副鼻腔に近い上の歯が原因で、炎症が副鼻腔まで広がっている場合は、副鼻腔炎を併発する可能性があります。

原因が歯の場合には、抗生物質で炎症を抑えた後、根の治療や歯周治療などで炎症の原因を取り除き、残せない場合には抜歯になることもあります。

◆放置すると危険!花粉症が歯に与える悪影響

副鼻腔炎以外にも、花粉症が歯に与える悪影響はあります。これらは放置してしまうと、虫歯や歯周病、ひどい場合は歯並びにまで悪影響を与えます。花粉症が歯に与える悪影響に対し、しっかり対策をする必要があります。

・鼻づまりによる口呼吸で唾液の作用がうまく発揮されない

花粉症になると鼻づまりが起こり、口呼吸が増えてしまう方も多いです。口呼吸になると口の中が乾燥して唾液不足になり、本来の唾液の性質が十分に発揮されません。

唾液には、細菌の増殖抑制や殺菌作用があるため、唾液が減ると歯周病・虫歯のリスクが高くなります。また唾液が減って細菌が増えやすくなることで、口臭も強くなりやすいです。

・薬の影響で口が乾きやすくなる

花粉症の薬を飲むと、口の中が乾きやすくなったという経験はないでしょうか。これは、花粉症薬として使用される「抗ヒスタミン」が原因です。

抗ヒスタミンには、第1・2世代抗ヒスタミンがあって、第1世代は花粉症の症状が強い場合に使用され、即効性が期待できます。しかし、口の渇きや眠気などの強い副作用があります。一方第2世代は、即効性の面では劣るものの、副作用が大幅に軽減され、口が渇きにくくなります。

ただどちらにしても薬を服用している場合には、口が乾きやすくなることには違いないため、前述の口呼吸同様に口の中で細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。

・口呼吸で歯並びが悪くなる

「口呼吸で歯並びが悪くなる?」と首を傾げている方もいるかもしれません。しかし成長期のお子さんの口呼吸が長く続けば、口呼吸に適応した歯並びや骨格に成長する可能性があります。

それはいわゆる出っ歯や、上あごの突出感が出てしまう可能性を高め、顔に歪みが生じてしまいます。そのため口呼吸の状態が長引かないように、耳鼻咽喉科や歯医者と連携し、お子さんの歯並びが悪くならないようにしっかり見守る必要があります。

◆お口のトラブルが起きる前に定期検診で予防しよう

花粉症と歯の関係は意外と奥が深いため、トラブルが起きやすい花粉症の時期にこそ、しっかり歯医者での定期検診を受けておくことをおすすめします。花粉症は1度かかると、毎年ひどい症状に悩んでいるという方も多いです。

花粉症の症状が悪化しないように対策をするとともに、歯医者でお口への影響が出てないかを確認してもらいましょう。またプロによるクリーニングを受けて、ケア方法などもしっかり教わり、リスクを少しでも軽減させるよう心掛けましょう。

◆最後に

花粉症の方は、花粉症の時期には普段に比べて歯周病や虫歯のリスクが高くなります。花粉症による歯への影響をなるべく少なくするためには、いつも以上に歯磨きを丁寧に行うとともに、歯医者での定期検診が重要です。細菌をなるべく少なくするようコントロールし、お口のトラブルを未然に防ぎましょう。

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