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歯医者さんで使った器具ってどうやって消毒してるの?

患者様に使用した器具は全て、洗浄・消毒・滅菌まで徹底した管理を行い、感染対策に取り組んでいます。また消毒・滅菌が難しいものに関しては、ディスポーザブル(使い捨て)も取り入れています。器具以外にも、患者様が座るユニットチェアも患者様毎にアルコール等で拭き上げています。


歯医者さんに行くと、ミラーやピンセットにはじまり、何に使うのかよくわからないような器具まで色々な器具を目にする機会も多いかと思います。そんな中で、通院中の歯医者さんのことは信頼しているけれど、どんな感染対策をしているのか気になっている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、歯医者さんで使った器具は、どのような洗浄・消毒をして感染対策を行っているのかについてお話していきます。

歯医者さんでの器具の消毒の仕方や感染対策を知ることで、患者様に安心して治療を受けていただくことができればと思います。ぜひご一読ください。

◆歯医者さんでの感染対策の種類

歯医者さんでの感染対策は、以下のような洗浄・消毒・滅菌から、ディスポーザブル(使い捨て)などを使用して、院内感染が起こらないよう細心の注意を払って対策をしています。

・洗浄

患者様が使用した器具をそれぞれきれいに洗った後に、超音波洗浄機による洗浄を行います。超音波の泡によるキャビテーション効果で汚れを落とし、短時間での洗浄が可能です。その際、キャビテーションによって発生した気体が周囲に拡散しないように、蓋をします。

・オイル洗浄(タービン、コントラ)

歯を削る際に使用するタービンやコントラという機器を、オイルで洗浄します。機器の表面ではなく、内部の汚れや溜まった血液などを落とします。オイル洗浄後は、ユニットでオイルを飛ばしてから使用します。

・消毒

患者様に使用した器具を薬液に浸すことで、汚れを分解して除去しやすくします。特に、感染リスクの高い血液や体液のついた器具の消毒に使用します。また、特殊な形状をしていて洗浄しにくい器具にも有効です。

また直接薬液に浸して消毒ができないユニットチェアや、その周りの取り外せない部分は、アルコール等による拭き上げで消毒を行います。

・滅菌

金属製の器具をはじめ滅菌の温度に対応しているものは、洗浄・消毒後に滅菌をします。高温高圧蒸気滅菌機を使用し、細菌を完全に死滅させた無菌状態にします。121度・132度など、滅菌する器具にあった温度に設定して、滅菌を行います。

・ディスポーザブル(使い捨て)

紙エプロン・紙コップ・注射針・麻酔液カートリッジ・外科用メスなど、感染リスクの高いものや滅菌ができないものは、ディスポーザブルで対応します。その他、歯科医師や歯科衛生士などのスタッフが着用する手袋も、患者様毎に新しいものを使用します。

・口腔外バキューム

口腔外バキュームは、口の外側から使用する吸引装置です。口の中の唾液等を吸引するバキュームとは別に、金属のかぶせ物や入れ歯などを削る際や、唾液・血液などの飛沫を吸い込みます。空気中への浮遊を阻止して、感染を予防します。

・空気清浄機

空気中に浮遊するウイルス・細菌・花粉などを取り除くことによって、空気感染を防止します。歯医者さんの気になる特有のニオイにも対応します。

◆使用した器具の洗浄から滅菌までの流れ

医療器材は洗浄から滅菌まで、徹底した感染対策を行っています。実際に患者様の口の中に使用する器具は、以下の流れで滅菌まで行っています。

【洗浄から滅菌までの流れ】

①汚れのついた器具を手洗い洗浄・薬液消毒
  ↓ 
②汚れが取れた器具を超音波洗浄機にかける
  ↓
③乾燥させる
  ↓
④器具を個別にパックする
  ↓
⑤滅菌
  ↓
⑥紫外線殺菌灯の中で保管

細菌やウイルスはどこに潜んでいるのかわからないからこそ、患者様には見えないところでの管理がとても重要です。洗浄・消毒をする際にも、不潔域と清潔域をはっきり分けて感染を徹底的に防ぎます。

◆あらゆるリスクを考慮した感染対策が重要

歯科治療を行う際には、あらゆるリスクを考慮した感染対策が必要です。例えば歯医者で感染するリスクのある病気や経路には、以下のものがあります。

①血液感染
B型・C型肝炎、HIVなど血液を介する感染

②空気感染
直径5μm以下の浮遊している粒子の吸入により感染
結核、麻疹、水痘など

③飛沫感染
直径5μm以上の粒子がくしゃみ等で1~2m飛び、吸入により感染
インフルエンザ・風疹など

血液感染を防ぐには、使用する器具は滅菌した清潔な状態であることが重要です。また空気感染では空気清浄機等を使用してクリーンな状態に保ち、飛び散った飛沫への対策には、患者様が触る可能性のある部分を常に清拭しておく必要があります。

日々あらゆる感染リスクがあると仮定して感染対策を行うことで、感染リスクを限りなく0に近づけることができます。

◆最後に

歯医者での治療は、全てではありませんが血液を伴う治療があります。抜歯での外科的処置はもちろん、歯のクリーニングでも出血する可能性はあります。その際に滅菌された清潔な器具を使用しなければ、B型肝炎やHIVなどの血液感染のリスクが高まります。

またインフルエンザやコロナウイルスなど、流行性のウイルス感染にも細心の注意を払う必要があります。当院では患者様が安心して通えるように、日々徹底した感染対策を行っておりますので、安心してご来院ください。

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