歯周病

総入れ歯の人は、虫歯や歯周病にならないの?

総入れ歯の人でも虫歯・歯周病になることがあります。また、総入れ歯になっても口の中のケアは継続して行わなければいけません。

総入れ歯になると、口の中のケアはしなくていいのではないかと思う方も多いのではないでしょうか。
 
しかし、総入れ歯でも自分の歯の根っこを残している場合は、虫歯歯周病のリスクがあります。
 
また、自分の歯が1本も残っていない場合でも、歯周病菌は口の中に存在するため、ケアは継続しなければいけません。
 
今回は、総入れ歯の人の虫歯・歯周病のリスクやケアの仕方についてご理解いただき、総入れ歯を快適に使っていただくために、事前にリスクへの対策をしていただければと思います。ぜひご一読ください。
 
◆総入れ歯でも虫歯・歯周病になる?
 
・歯の根っこを残していれば虫歯のリスクはある
歯の根っこがしっかりしていれば、土台として歯の根の部分だけをそのまま残す方法があります。
 
例えば、その方法の1つに金属の土台を歯の根っこに入れて接着し、その金属の土台と入れ歯とでマグネット式に装着させる「マグネット義歯」という入れ歯を作る方法があります。
 
総入れ歯でも、このように自分の歯の根っこを残こして総入れ歯を作っている場合には、歯の根っこ部分が虫歯になる可能性があります。
 
・インプラントを用いた総入れ歯の人はケア不足で炎症も
インプラントの土台をたてて、入れ歯と磁石で装着するインプラントデンチャーは、歯は抜いていますが、インプラントの土台を顎にたてているので、ケア不足で汚れが溜まれば「インプラント周囲炎」という炎症が起きてしまいます。
 
ケアをしっかり行うことで炎症は防げますが、ケアを怠ればインプラントの周りに炎症が起こって歯周病同様に周りの骨が溶けてしまい、インプラントの寿命を縮めてしまいます。
 
・歯を全て抜いた総入れ歯の人は虫歯にはならないが…
歯を全て抜いている総入れ歯の人は、虫歯になることはありません。しかし、歯周病菌は口の中に存在します。
 
そのため、菌が増えると「誤嚥性肺炎」や「義歯性の口内炎」になるリスクがあります。
 
◆歯周病菌は総入れ歯の人でも増える
 
歯がないからといって口の中のケアを怠ると、口の中に汚れが溜まって歯周病菌がどんどん増えてしまいます。
 
舌・歯肉・上あご・頬の内側の粘膜に溜まりやすく、特に舌の上(舌苔)には汚れが多く溜まり、口臭の原因にもなります。ただ、最近は口の中のケアへの意識が高い人も多くなってきていますよね。
 
市販でも舌専用の「舌ブラシ」等、さまざまケアグッズが販売されていますのでぜひ活用してみてください。
 
◆総入れ歯でも汚れが溜まると口腔内トラブルの原因に
 
・歯周病菌が増えれば誤嚥性肺炎のリスクがある
総入れ歯をして食事をしていると、ちいさな食べカスが入れ歯と歯茎の間に溜まることもあります。
口の中や入れ歯の汚れをそのまま放置して溜まってしまうと、汚れのかたまりを飲み込んでしまうことにより誤嚥性肺炎を発症する可能性があります。
・ケア不足で義歯性の口内炎ができやすい
ケア不足で汚れが溜まると、「義歯性の口内炎」になることがあります。歯周病菌とカンジダという真菌が口の中に繁殖し、口内炎を引き起こします。
口内炎ができると入れ歯使用時に痛みを伴い、食事をおいしく食べる妨げになります。
・口の中は刺激しないと唾液の減少も
口の中をブラッシング等で刺激をしないと、唾液の分泌が減少することもあります。
唾液には、「殺菌作用」や食べ物を洗い流す「自浄作用」、虫歯リスクの高い酸性の状態を中和させる「緩衝作用」などの口の中の環境を整える働きがあります。
唾液の分泌が悪いと口腔内が乾燥して食事のときにものが流れにくく、汚れも溜まりやすくなります。口の中に刺激を与えることで唾液の分泌を促進しましょう。
 
◆口腔ケアはどう行えばいい?
 
歯がない場合の口の中のケアは、やわらかめの歯ブラシや口腔ケア用のブラシ、もしくはブラシの先にスポンジがついたものを使い、歯茎をマッサージするように磨くといいでしょう。
 
なかには、口の中を拭いて汚れをとるタイプのケアグッズも販売しています。ご自身の使いやすい道具を使ってケアを行うのがおすすめです。
 
また、可能であれば、口の中専用の保湿剤を使用した洗口剤やブラシ等でのマッサージも行うと、汚れが溜まりにくくなって口腔内乾燥症の予防にもなります。
 
◆入れ歯のケアも忘れずに
 
口の中に限らず、入れ歯のケアも大切です。義歯専用のブラシ等を使って汚れを毎食後きれいに落とします。毎食後難しい場合でも、1日に1回は必ずケアを行う必要があります。
 
ただ、義歯ブラシのケアだけだとカンジダ菌等の菌を取り除けないので、義歯洗浄剤でのケアも合わせて行いましょう。

◆最後に

自分の歯がない総入れ歯の方だと、歯があった頃に比べてケアが不十分になりがちです。
しかし、歯がない方も口の中のケアを怠れば、菌が増殖して「誤嚥性肺炎」や「義歯性の口内炎」などを引き起こします。
総入れ歯の方もしっかりケアを行うことを心掛けてくださいね。

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