歯そのものは弱くなりません。
歯は体内で作られ完成すると、歯の栄養分が体内に取られてしまうことは、ありません。歯から栄養分が取られる前に、全身を構成する骨から、栄養分は取られます。歯は代謝(栄養を摂ったり出したりすること)しませんが、骨は代謝するからです。
虫歯は、「歯の質」「虫歯の菌」「糖分」「時間」の、4つの要素が重なると発生します。この4つの要素の内、子供を産むことで悪くなる方向に変わるのは、「糖分」と「時間」です。「歯の質」に変化はなく、「虫歯の菌」も同様、多くの人は乳児期の感染によって保有しているからです。
出産後は、授乳や母体の回復のため、栄養をたくさん摂る必要があります。そのため空腹感も増大し、食事以外にも副食として「糖分」の入った物を摂る機会が多くなりがちです。また頻繁に摂取することから、糖分が歯に付着している「時間」が長くなり、虫歯になり易い環境となるのです。そして授乳により水分不足で唾液の分泌量が減ったり、育児の忙しさで口腔清掃が不十分になることによっても、虫歯になりやすいです。
歯そのものは弱くなりませんが、歯の周りの組織は弱くなることはあります。体の抵抗力が弱くなり、歯周病の菌に負け易いからです。ホルモンのバランスの変化も要因のひとつと考えられています。
出産前後はこれまで以上に口腔内清掃や飲食習慣に気をつけ、歯科医院での検診を、出産時期を挟んで、前後3ヶ月位を目安に受けることを、お勧めします。