口腔癌は、口のなかにできる癌のことです。口腔癌には、癌ができる箇所によって、「舌癌」や「歯肉癌」など、名称が異なります。
口腔癌は、痛み等の大きな異変を感じたときには、すでに癌が進行していることも多いため、いかに早期発見できるかがとても重要です。
口は、噛む、声を出す、飲み込むなど、人が生きていくうえで非常に重要な働きを担う器官です。「口腔癌」から大切な器官を守るには、まずは「口腔癌」について知ることが大切です。
皆さまが「口腔癌」とはどういうものかについて知り、「口腔癌」のリスクのある方が癌に進行してしまう前に、早期発見ができればと思います。ぜひご一読ください。
◆口腔癌とは?
口腔癌とは、口のなか(口腔)にできる癌の総称です。口腔癌には、
- 舌癌…舌にできる癌
- 歯肉癌…歯ぐきにできる癌
- 口腔底癌…下の歯ぐきと舌の間にできる癌
- 頬粘膜癌…頬の内側にできる癌
- 口蓋癌…上顎にできる癌
- 口唇癌…唇にできる癌
※出典(写真):口腔外科相談室 日本口腔外科学会
があり、癌ができる場所によってそれぞれ分類されています。口腔癌で最も多いのは、舌に癌ができる「舌癌」です。
口のなかの癌は、直接「癌の患部」を見ることができます。そのため、他の癌とは異なり、早期発見しやすい癌であるともいえます。
しかしながら、初期の段階では痛みがほとんどありません。そのため、いかに小さな異変に気づけるかどうかが、早期発見できるかどうかの重要なポイントとなるのです。
◆口腔癌の初期症状とは?
口腔癌の初期状態では、はっきりとした自覚症状があまり見られません。
口腔癌の初期症状として見られる変化としては、以下のような変化が、口のなかの粘膜や、舌の表面に表れます。
- 赤みが強い
- 白くなる
- ただれる
- しこりを感じる
- ザラザラする など
ただし、これらは「口腔癌」だけに表れる特異的な症状ではありません。そのため、口腔癌かどうかを見極めるのはとても難しいです。
たとえば、「ただの口内炎かな」と思って放置していたものが、「じつは口腔癌だった」ということも珍しくないのです。
また、「歯肉癌」にいたっては、歯ぐきの出血や腫れ、歯の動揺などが症状として表れることがありますが、 この症状は歯周病の症状と似ているため、気づきにくいという側面もあります。
口腔癌の明らかな症状としては、痛み、口の開けにくさ、舌の動かしにくさや、見た目の大きな変化、硬いしこりの認知、などがあります。もし、これらの明らかな症状がでたときには、 すでに口腔癌が進行していることもあります。
そのため、 痛みがなくても、口のなかの異常がなかなか良くならない場合は、早めにかかりつけの歯科医や、歯科口腔外科を受診して相談することが大切です。
◆どうして?口腔癌の原因
では、そもそもどうして口腔癌になってしまうのでしょうか?
口腔癌の原因には、さまざまな要因が関与していますが、主な原因には「喫煙」や「飲酒」、「口内の状態や刺激によるもの」が挙げられます。
・喫煙
口腔の大きな原因のひとつに、「喫煙」が挙げられます。これは、「喫煙本数」や「喫煙年数」など喫煙量が多くなればなるほど、リスクが高まります。
たばこには多くの発癌性物質が含まれており、その影響はたばこの煙の経路に限らず、血流に乗ってあらゆる臓器に運ばれて、悪影響を及ぼします。そしてこの発癌性物質は、DNAを複製する際に遺伝子変異を引き起こして、細胞の癌化に影響すると考えられています。
また、たばこは副流煙にも注意が必要です。副流煙は、主流煙よりも発癌性物質が多く含まれているため、たばこを吸わない人も気をつけなければなりません。
・飲酒
飲酒は単体でも発癌性があると報告されていますが、「飲酒」に「喫煙」が加わると、さらに癌のリスクが高まるといわれています。
これは、たばこの発癌物質がアルコールで溶解されて、口腔粘膜に作用しやすくなるためだと考えられています。
・口内の状態や刺激によるもの
口内の状態や、口内への刺激が、「口腔癌」の原因になることもあります。
たとえば、十分な歯磨きができておらず口内が不衛生だったり、破損した被せ物や詰め物、合っていない入れ歯、欠けて尖った歯などによる慢性的な刺激が、癌化の原因として挙げられます。
◆口腔癌予防のためにできること
口腔癌になるリスクを軽減するためには、お口の環境を整え、生活環境にも気をつけておくことが大切です。
【口腔癌予防のためにできること】
- 口内を清潔に保ち、むし歯・歯周病予防をする
- 歯科定期検診で口内に異常がないかチェックしてもらう
- 適合の悪い詰め物・入れ歯などを放置しない
- タバコ・ アルコールを控える
- 抗酸化作用の高いビタミンA、C、Eをはじめ、バランスの良い食事を心がける(免疫力を高めるため)
これらのなかでも、とくにかかりつけの歯科医院で、定期検診を受けることが大切です。
なぜなら、適合の悪い入れ歯や詰め物などを治してもらえることはもちろん、口内の異変に早期に気づいてもらえるからです。
口腔癌は、初期の段階で発見できれば、治療箇所も狭く、治癒率が高いです。そのため、常にご自身でも口内をチェックするとともに、歯科医院で口内のチェックをしてもらい、クリーニングや治療を受けて、口のなかを常にきれいな状態に保っておきましょう。
◆歯科さくらクリニックでは口腔癌の早期発見に効果的な「オーラルID」を導入
当院では、口腔癌や、さまざまな口腔内病変の早期発見に効果的な「オーラルID」を導入しています。
治療時に専用のゴーグルを装着し、診療と同時に口腔病変の早期発見を行っていきます。「オーラルID」は、薬事申請を取得している医療機器で、安心して利用できます。
また、「オーラルID」での診察の結果、精密検査が必要と判断した場合は、提携病院へと早期にご紹介いたしますので、「口腔癌」が気になられている方はぜひ一度当院へご相談ください。